相続税の申告をするにあたりまして、被相続人が所有をしていた、海外に存在している不動産につきましても、申告する必要があると考えられているのでしょうか?

相続と法人税

<解答>
 海外に存在している財産を相続した場合につきましては、その相続人が居住無制限納税義務者、あるいは非居住無制限納税義務者に該当することになるのであれば、海外に存在している財産につきましても、申告しなければならないと考えられているようです。
 財産の所在地については、それぞれの財産ごとに定められているようです。

(1) 財産の所在地
 以下に掲げられている財産に所在につきましては、それぞれの場所によるものとされている。

[動産の種類]:[所在等]

・ 鉱業権もしくは租鉱権、あるいは採石権:鉱区、あるいは採石場の所在。
・ 漁業権、あるいは入漁権:漁場に最も近い沿岸の属する市町村、あるいはこれに相当する行政区画。
・ 金融機関に対する貯金、預金、積金、あるいは寄託金で政令で定められているもの:貯金、預金、積金、あるいは寄託金の受け入れを行った営業所、あるいは事業所の所在。
・ 保険金:主たる事務所、あるいは保険の契約に係る保険会社等の本店の所在。
・ 退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与:当該給与を支払った者の住所、あるいは主たる事務所の所在。
・ 動産、あるいは不動産(不動産の上に存在している権利等を含む):その動産、あるいは不動産の所在。
・ 船舶、あるいは航空機:その船舶、あるいは航空機の登録を行った機関の所在。
・ 社債(特別の法律によって、法人の発行する債権お呼び外国法人の発行している債権も含みます)若しくは株式、法人に対する出資、あるいは政令で定められている有価証券:当該社債もしくは株式の発行法人、当該出資のなされている法人、あるいは当該有価証券に係っている政令で定められている法人の本店、あるいは主たる事務所の所在。
・ 法人税法第2条第29号(定義)に規定されている法人課税信託に関する権利:これらの信託の引き受けをした営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在。
・ 国際、あるいは地方債:この法律の施行地に存在しているものとし、外国あるいは外国の地方公共団体その他これらに準ずるものの発行する公債については、当該外国に存在しているものとする。
・ 特許権、実用新案権、意匠権もしくはこれらの実施権で登録されているもの、商標権、あるいは回路配置利用権、育成車検若しくはこれらの利用券で登録されているもの:登録を行った機関の所在。
・ 相続法第7条の規定によって、贈与、あるいは遺贈によって取得したものとみなされている金銭:みなされている基因となった財産の種類に応じて、相続税法第10条に規定する場所。
・ 出版権、著作権、あるいは著作隣接権において、これらの権利の目的物が発行されているもの:発行する営業所、あるいは事業者の所在。
・ 貸付金債権:債務者(債務者が2以上ある場合におきましては、主たる債務者となり、主たる債務者がない場合に関してましては、政令で定める一の債務者)の住所、あるいは本店若しくは、主たる事務所の所在。
・ 上記に掲げられている財産を除くほか、営業所、あるいは事業所を有する者の当該営業所、あるいは事業所に係る営業上、あるいは事業上の権利:営業所、あるいは事業所の所在。
・ 上記以外の財産:当該財産の権利者であった被相続人、あるいは贈与をした者の住所の所在による。

(2) 判定の時期
 上記(1)に掲げている財産の所在の判定につきましては、その財産を相続、あるいは遺贈によって、取得した場合の現況によって判定することになります。

(3) 外国税額控除
 相続、あるいは遺贈によって、国外にある財産を取得した場合におきまして、その所在地国の法令によりまして、日本の相続税に相当されている税が課された場合においては、二重課税を防止するために、相続税額から、その所在地国の法令によって課せられた相続税に相当する税を控除することになる。
 ただし、その控除される金額についてが、次の算式によって計算した金額を超える場合においては、その超える部分の金額につきましては控除されることはないことに留意しなければなりません。

日本の相続税×(国外財産の価額÷相続、あるいは遺贈によって取得した財産の価額のうち、課税価格計算の基礎に算入されることになった金額)