完全支配関係がある法人間において発行法人に株式を譲渡する際、譲渡損益の取り扱いはどうなりますか?

法人税

平成22年度税制改正で、100%グループ法人間の資産移転については課税関係を生じさせないこととなりました。そして、100%グループ法人間において発行法人に株式を譲渡する場合についても同様に課税関係を生じさせないこととされました。つまり、完全支配関係がある法人間で発行法人に株式を譲渡する際、株式の発行法人への譲渡損益を計上しないということです。
譲渡損益の取り扱いは、「譲渡損益の不計上」と「譲渡損益の調整」の二つに大別されます。

1.譲渡損益の不計上
法人が、所有株式を発行した完全支配関係のある他の法人から、みなし配当が生じる基因となる事由により、金銭その他の資産の交付を受けた場合又は当該他の法人の株式を有しないこととなった場合(残余財産の分配を受けないことが確定した場合を含みます)には、有価証券の譲渡損益の計算に当たり、その譲渡対価の額は譲渡原価の額に相当する金額とされ、譲渡損益は計上されません。

2.譲渡損益の調整(資本金等の額の調整)
完全支配関係のある法人に係るみなし配当事由による株式の譲渡損益を認識しませんので、譲渡原価と譲渡対価との差額(譲渡損益相当額)は、株主である法人の資本金等の額にチャージされ、譲渡利益は資本金等の額を増加させ、譲渡損失は資本金等の額を減算する処理を行うことになります。