自己株式の取得に当たり、株主に交付する対価は、配当とみなされるのでしょうか?

法人税

相対取引で自己株式の取得の対価として金銭等を交付したとき、当該交付金銭等は、資本の払い戻しと留保所得の払い戻しに区分され、留保所得の払い戻しの部分の金額は、配当の支払いとみなされます。

自己株式を取得するためには、株主から直接買取る方法(相対取引)と市場を通して買取る方法が存在します。
そのうち、相対取引による自己株式の取得に限って、みなし配当が生じます。相対取引で自己株式の取得の対価として金銭等を交付したとき、当該交付金銭等は、資本の払い戻しと留保所得の払い戻しに区分され、留保所得の払い戻しの部分の金額は、配当の支払いとみなされることとなります。その金額について、取得法人は源泉徴収を行い、1株当たりのみなし配当の金額を株主に通知しなければなりません。
みなし配当の金額は、法人税法上の資本金等の額を基に、次の算式によって計算を行います(法人税法第24条第1項第4号、同法施行令第23条第1項第4号)。会計上の資本金及び資本剰余金の合計額を基に計算を行うことはできません。
交付金銭等の時価- 取得等法人の取得等直前の資本金等の額/取得等法人の取得等直前の発行済株式数 ×取得等される自己株式の数
この算式における取得等法人とは、自己株式の取得等を行った法人をいいます。また、取得等法人の取得等直前の資本金等の額がゼロ以下である場合にはゼロとなり、取得等法人の取得等直前の発行済株式数から自己株式の数は除外されます。
なお、発行法人に株式の譲渡を行った株主については、みなし配当の金額の認識だけでなく、次の算式によって株式譲渡損益の計算も行わなければなりません(法人税法第61条の2第1項)。
交付金銭等の時価-みなし配当の金額-譲渡直前の対象株式の簿価