100%の支配関係がある法人から配当金を受け取りました。配当した内国法人の計算期間に、平成22年度税制改正前の期間が含まれています。この場合に、当該配当金について、税制改正後の益金不算入規定は適用されるでしょうか?

法人税

たとえ配当金を支払う内国法人の計算期間開始日が平成22年4月1日より前でも、当該計算期間を通じて、配当金の支払いを受ける内国法人と配当金を支払う内国法人との間に100%の完全支配関係がある場合には、平成22年4月1日以後に開始する事業年度において支払いを受ける当該配当金について、配当金の額から負債利子の額を控除せず、全額益金不算入となります。

平成22年度税制改正後は、100%の支配関係がある法人から受け取る配当金について、配当金から負債利子を控除せず、全額益金不算入とされています。税制改正前は、益金不算入額を計算するに当たり、対象株式が連結法人株式等・関係法人株式等・連結法人株式等及び関係法人株式等以外の株式等という3つに区分されていました。しかしながら、税制改正後は、完全子法人株式等・関係法人株式等・完全子法人株式等及び関係法人株式等以外の株式等という3つに区分して計算することになりました。なお、それまでの連結法人株式等は、完全子法人株式等に含まれることとされました。対象株式が完全子法人株式等に当てはまるのであれば、その配当金が全額益金不算入となります。
税制改正後の取り扱いは、平成22年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。配当金を支払う法人における計算期間に平成22年4月1日より前の税制改正前の期間が含まれる場合、その期間は「完全子法人株式等」という概念がないため、税制改正前の「関係法人株式等」に含まれてしまわないかという問題が浮上します。
しかしながら、税制改正後の益金不算入規定は、平成22年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用されるものであり、その適用関係は、配当金の額の支払いを受ける法人の事業年度の開始日がいつかであるかにより定められています。配当金の額を支払う法人における計算期間により定められているのではないのです。
ゆえに、配当金の額を支払う他の法人の計算期間開始日が平成22年4月1日より前であるとしても、当該計算期間を通じて、配当金の額の支払いを受ける内国法人と当該他の内国法人との間に100%の完全支配関係があるのならば、当該内国法人の平成22年4月1日以後に開始する事業年度において支払いを受ける当該配当金の額は、完全子法人株式等に係る配当等の額に該当します。