医療法人における完全支配関係の判定について教えてください。

医療法人税制

完全支配関係の判定では議決権の有無は考慮することはありません。それゆえに、議決権が対応していない医療法人の出資持分等については、注意することが重要です。

法人税法上は、完全支配関係とは以下の関係のことをいいます。
(1)一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係
(2)一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係
上記の規定からもお分かりいただけるように、完全支配関係の判定においては、議決権の有無は考慮することはありません。
それゆえに、議決権のない種類株式・議決権が対応していない医療法人の出資持分等につきましては、注意することが重要です。あくまでも、株式(種類株式も含まれます)または、出資の全てを「一の者」が有しているかどうかによって判定しなければなりません。
譲渡損益の繰延を回避したいということでしたら、議決権のない配当優先株式等の発行を検討するのも良い考えでしょう。ただし、従業員持株会(民法第667条第1項に規定する組合契約)が所有している株式や、ストックオプション等によって役員が取得した株式につきましては、その持株の割合が5%未満であれば、完全支配関係にあてはまってしまうこともありますから、注意しなければなりません。